体重・血圧・浮腫をチェックする方法
心不全の悪化を早期に察知するために、毎日のセルフモニタリングは欠かせません。当院では「心不全手帳」などを活用し、以下の3点を記録することを推奨しています。

毎朝の体重測定
体重の急激な増加は、食べ過ぎや脂肪がついたのではなく「体内に水分が溜まっている(うっ血)」サインです。「2〜3日で2kg以上」の体重増加がある場合は、心不全の悪化が疑われるため、早めの受診が必要です。測定は毎朝、起床して排尿を済ませた後、朝食前に行うのが最も正確です。
血圧・脈拍の記録
心臓への負担を可視化します。血圧が普段より高すぎる場合は心臓に過度な圧力がかかっており、逆に低すぎる場合は心機能の低下や薬の効きすぎが懸念されます。脈拍が通常より遅いまたは早い場合には不整脈が起こっている可能性があります。
浮腫(むくみ)のセルフチェック
足のすねの内側を指で5〜10秒ほど強く押し、離した後に跡が残るかどうかを確認します。靴が急にきつくなった、靴下の跡がなかなか消えないといった変化も重要な指標です。
塩分制限・水分制限はどこまで必要
食事管理、特に塩分のコントロールは、心不全による再入院を防ぐための最大の武器となります。

塩分制限の目安
ガイドラインでは、心不全患者様の塩分摂取量は「1日6g未満」が標準とされています。塩分(ナトリウム)を摂りすぎると、体が水分を溜め込もうとし、血液量が増えて心臓に過剰な負荷がかかります。
水分制限の考え方
以前は一律に厳しい水分制限が行われていましたが、現在のガイドラインでは、重症の心不全や強いむくみがある場合を除き、極端な制限は推奨されません。ただし、うっ血が強い時期には、医師の指示のもとで1日1,000〜1,500ml程度に調整することがあります。
当院のアドバイス
「味気ない食事」を続けるのは難しいため、出汁(だし)を効かせたり、酸味や香辛料を活用したりする工夫を提案します。
運動はしていい?禁止?どの程度?
「心臓が悪いから安静にしていなければならない」という考え方は、今や過去のものです。

運動療法の重要性
適切な運動は、心臓のポンプ機能を助けるだけでなく、全身の筋肉を維持し、息切れを軽減させる効果があります。最新の指針でも、安定した心不全患者様には有酸素運動が強く推奨されています。
「どの程度」動いて良いか
重要なのは「医師が設定した運動強度」を守ることです。当院では、心臓リハビリテーションを通じて、心電図や血圧をモニタリングしながら、患者様一人ひとりに安全な運動レベル(「やや楽」から「ややきつい」と感じる程度)を指導しています。
禁止すべきタイミング
強い息切れがある、動悸がする、体がだるいといった増悪期には安静が必要です。無理をして動くべき時と、休むべき時の見極めを当院のスタッフがサポートします。
飲酒・喫煙・睡眠・ストレスの管理
禁煙の徹底
喫煙は血管を収縮させ、血圧を上げ、心不全を確実に悪化させます。電子タバコを含め、禁煙は「必須」の治療です。
飲酒の管理
アルコール自体に心筋を弱める作用があるほか、飲酒に伴う塩分の過剰摂取が問題となります。ガイドラインでは、適切な量(エタノール換算で1日20g程度、ビールなら中瓶1本まで)に抑えるか、病態によっては断酒を推奨しています。
睡眠とストレス
睡眠時無呼吸症候群は心不全の大きな悪化要因です。いびきや日中の眠気がある場合は検査が必要です。また、過度なストレスは交感神経を刺激して心臓を疲れさせるため、リラックスできる時間を意識的に作ることが大切です。