息切れ・動くと苦しい
心不全の最も代表的な症状は、体を動かした時に感じる「息切れ」です。これは医学用語で「労作時呼吸困難」と呼ばれます。

なぜ息切れが起きるのか
動脈血を全身に送り出す心臓の左側(左心系)の機能が低下すると、肺から戻ってくる血液をうまく送り出せなくなり、血液が肺に滞ります(肺うっ血)。これにより肺がむくんだ状態(肺水腫)になり、酸素の交換がスムーズに行えなくなるため、息苦しさを感じるようになります。
症状の現れ方
以前は平気だった階段や坂道で息が切れるようになるのが初期の特徴です。進行すると、平地を歩くだけでも苦しくなったり、着替えなどの軽い動作でも息が上がったりするようになります。
足のむくみ・体重増加
「むくみ(浮腫)」は、静脈血を全身から回収して肺に送り出す心臓の右側(右心系)の機能低下(右心不全)や、全身の血液循環が悪くなることで起こります。

むくみの原因
心臓が血液を吸い込む力が弱まると、全身の静脈に血液が溜まります。その圧力によって血液中の水分が血管の外へ押し出され、特に足の皮下組織に溜まることで「むくみ」が生じます。
体重増加の正体
脂肪による体重増加とは異なり、数日のうちに1〜2kgも体重が増えるのは、体内に数リットルもの「余分な水分」が溜まっている証拠です。これは心不全が急速に悪化している(急性増悪)強力な指標となります。
チェック方法
足のすねを指で5秒ほど強く押して、凹んだまま戻らない場合は浮腫が疑われます。また、靴が急にきつくなる、靴下の跡が深く残る、といった変化も重要です。
夜間の息苦しさ・起座呼吸
夜間発作性呼吸困難
横になると、日中に下半身に溜まっていた水分が心臓へと戻ってきます。弱った心臓はこの急な血液の増加に対応できず、肺のうっ血がさらに悪化し、寝ている間に突然激しい息苦しさで目が覚めることがあります。
起座呼吸(きざこきゅう)
横になるよりも、座っている方が呼吸が楽になる状態を指します。座ることで重力により血液が下半身へ移動し、肺のうっ血が一時的に和らぐためです。「枕を高くしないと寝られない」「夜中に苦しくて座り込んでしまう」という症状は、心不全がかなり進行している兆候であり、直ちに専門医の診察が必要です。
倦怠感・疲れやすい・食欲低下
心不全の症状は呼吸器系やむくみだけでなく、全身の「だるさ」や「胃腸の不調」として現れることもあります。

全身の倦怠感
心臓が全身に送り出す血液量(心拍出量)が不足すると、筋肉や脳へ十分な酸素と栄養が行き渡らなくなります。これにより、「体が重い」「力が入らない」「異常に疲れやすい」といった全身倦怠感が生じます。
胃腸のうっ血と食欲不振
血液の滞りは胃や肝臓、腸などの消化器系にも及びます。胃腸がうっ血してむくむことで、腹部膨満感(お腹が張る感じ)や食欲不振、吐き気などを引き起こします。
低栄養のリスク
ガイドラインでは、心不全による食欲低下が「フレイル(虚弱)」や「カヘキシア(悪液質:進行性の体重減少)」を招き、予後を悪化させることが指摘されています。当院では心臓リハビリや栄養指導を通じて、これらの全身症状の改善にも取り組んでいます。
胸に痛みがある・違和感がある
「胸が締め付けられるように痛い」
「なんとなく胸に違和感がある」
「動いたときに胸が苦しくなる」
このような症状がある場合、心不全が関係している可能性があります。
心不全とは、心臓の働きが弱くなり、全身に十分な血液を送り出せなくなる状態です。初期の段階では、はっきりとした強い症状ではなく、軽い違和感として現れることも少なくありません。

症状の現れ方
-
徐々に悪化していく
最初は軽い違和感でも、時間の経過とともに症状が強くなることがあります。
-
動作時に強くなる
階段の上り下りや歩行など、体を動かしたときに症状が出やすくなります。
-
安静時や夜間にも出る
進行すると、安静時や就寝中にも息苦しさや胸の違和感が現れることがあります。